楽天ブログ日記 「或るジュエリーメーカーの退屈な日常」 SARUVOの製作日記 「SARUVOのジュエリー・ワークショップ」 お休み中 　 SARUVO掲載メディア一覧

13.Aug.2011

＜おさるの宝物3＞

新作作りはじめました
新作 Byzanz 原形製作開始！！

新作 IISUS RINGS リリース!!

新作 MARTA RINGS リリース！

◇

（4月24日のダイアリーのつづき）

ウクレレには主に３種類の大きさがあります。
小さい順にソプラノ　コンサート（アルト）　テナーです。
5cm位くらいづつ大きくなります。

昔から日本でウクレレといえばソプラノの事でしたが
近年ソロ楽器としての役割から大型化が進んでいます。
中には「ソプラノは子供用」なんて言う人もいますが
とんでも無い話です。

ウクレレの王道はソプラノです。
プロがライブで他の楽器と共演したり、マイクを通したりして人に聞かせるなら
音程の安定したテナー（ジェイクの神業）もいいでしょうが
自分で楽しむ為に弾くなら断然ソプラノです。

コンサートにいたっては、ただ音が大きいだけで
ソプラノより良い音がする個体に会った事がありません。

何よりソプラノはチェンバロとかリュート等の
バロックな古楽器の音がするんですよ　不思議です。
私はクラッシックやポピュラーしか弾かないのに
ギターじゃなくてウクレレを選んだのもその為です。

ほんとだってば！
ウクレレの神様ハーブ・オータもバッハのCDを出しているし
John Kingの味の有る演奏もこちらで見られます。
でもこの人、スプルーストップのギターみたいな音のウクレレ使ってるんだよね
貸してあげようか？　コレ

補足：John King氏は09年4月に亡くなりました

＜Martin Style3 Employee　1933年＞

全長53.5cm　有効スケール35cm 　1〜12F 17,2cm
ほとんどバイオリンと同じ、弦楽器としては限界の小ささ。

eBayで手に入れました
珍しい Employeeモデルです。

Employee（エンプロイイ＝従業員）モデルは
1920年代後半から30年前半まで、マーチン社の従業員が
自分の為に製作したウクレレです。
その為どこにもマーチンの表記がありません。

のんびりした時代だったんですね
従業員が自分の為に数本のウクレレを作る事が
許るされていたんです。

同じアメリカのパーカー万年筆も、昔は社員を大切にしていましたから
ドラッガーの「マネジメント」の企業理念を先取りしていたんですね。

売り主はマーチン本社があるペンシルバニアの人で
御両親が若い頃、マーチン工場で働いていた親戚から
プレゼントされたそうです。
マーチン博物館で1933年のEmployeeであると鑑定されました。

Employeeはとても数が少なく、インレイのカタチが特別だったりして
レアなのでとても高価ですが
コレは側板にクラックが入り裏に布を当ててリペアしてあるし
インレイも通常モデルと同じなので、相場の1/3くらいの値段でした。
eBayは延長が無い一発勝負なので、1＄違いで落札しました。

無事日本に着いたこのコは、指板が新品同様でほとんど使用されていない様子で
弦を外して保管していたらしくネックが逆反りしていましたが
テンションの強い弦を張ったら真直ぐになりました。
側板のクラックは乾燥で入ったのでしょうね。

これがイイ音なんです
いろんな音色が混じった複雑な音を、弦にふれたとたんに
ボディ全体をビリビリ震わせて鳴らします
もううっとりです。

実はもう一本、1950年代後半のStyle3も持っていました。
これはもう音も状態も完璧で本当に美しい楽器でした。
ウクレレでは難しい*オクターブピッチもピッタリで
前の持ち主はプロだったのだろうと思います。

しかし生活苦で手放してしまいました。
言い訳ではありませんが、私には完璧すぎました。
アンティークというのは自分の物であって、次の人の物でもあるのです。
だからキズを付けないように気を使うから肩が凝って・・。

だけどこのコは綺麗だけど、リペアしてあるのでお気楽
オクターブもちょっとズレてるし。
ウクレレはちょっといいかげんがイイ！

コレだけは手放したくないなぁ


＊　ヴァイオリンと同じくらいの超ショートスケールで
フレットがあって、4stがオクターブ違うチューニングで
その上ブリッジが水平なんだから
オクターブピッチが合う方が不思議だ。

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