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8.May.2016

＜高島野十朗展＞

目黒区美術館に「高島野十朗展」を観に行きました。
ここに来るのは初めてです。
今日は2時から野十朗研究者によるセミナーがあるのです。

15分前に着いて「セミナー会場はどこですか？」と聞くと
責任者らしきオッサンが、もういっぱいだから〆め切った
とおっしゃいます。

来た客を追い返すなんて言語道断「そんなことは容認できん！」
と会場をのぞくと、なんでぇ 後ろの壁際に余裕で立ち見スペースが
あるじゃんか、と立っていたら椅子を持って来てくれました。
結局いくつかの椅子を補充し、立ち見を含めてさらに20人ほどが入れた
どうも芸術関係の人はお上品でいけねぇ。

1時間半にもおよぶ講演を聞いて、さあ野十朗の全貌とご対面。
いままで、山種や芸大でいくつかの作品を見ただけなので
全140点余りの個展は初めてです。

見て回るうちに野十朗の意外な一面に気が付いちゃいました
あのね　大きな声では言えませんが　このひとけっこうヘタですよ。
とくに大きな作品はいけません、いままで傑作しか見てなかったのね〜
反面、ヴァニタス画のような静物や小品は素晴らしい。

それとね、案外「売れる絵」描いてます　ウフ♪
野十朗というと、アカデミックな美術教育はいっさい受けず、独学で
どの画壇にも属さず、柏市郊外の農村の片隅に家を建て、畑を作って
自給自足で、まるで仙人のように暮らした田中一村みたいな人を
想像していたのですが　違いますよ。

定期的に個展を開いてけっこう売れていたそうです。
お客は東大の同級生（農学部首席卒業）やその関係者だったそうで
それに向けたニーズの絵を描いています。

ヴァニタス画はインテリのクリスチャンが好きそうだし
普通の画家なら描かない絵ハガキみたいな構図の風景画なんて
「これなら家に飾ってもじゃまにならないでしょ」ってなもんです。
だから一生絵で食えたようです。

でも、今回のチケットの絵にもなっているサクランボやカラスウリの絵は
やっぱりいいなぁ〜　欲しい♪

今回一番の見所は「ろうそくの部屋」
小さな展示室一室が19点のろうそくの絵で埋め尽くされています。
面白いのは年代が新しくなるにしたがって上手くなる訳ではないこと
大正に描かれた一枚が一番イイ。

野十朗といえばろうそくですが、ろうそくの絵は個展で売られたことはなく
もっぱら親しい人への贈り物だったそうです。
そう思ってみると、これは坊主が仏さんをささっと描いて人にあげるような
熱心な仏教徒であった野十朗にとっての「仏画」だったのではないかと思えてきます。

帰りに「とんき」でとんかつを食べながら、一枚の絵で人を突き動かす
以前見た浅井忠のような、圧倒的な画力の人の絵をみたくなりました。
秋の速水御舟が楽しみです。


高島野十朗展オフィシャル
多くの作品が見られます

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